月別アーカイブ: 2006年9月

2006.09.22

小林・ドリス

先週、見る事ができなかった高橋コレクション『小林正人/光』展へ。
いや~、びっくりしました。また閉まっているんだもん。でも、扉をよく見ると張り紙が!
「小林正人展をご覧になりたい方は上階の山本現代まで、、、」
もしかしたら先週も貼ってあったのかな?なんて思いながら、山本現代のスタッフにお願いして開けてもらう。

ここ最近の傾向らしい、ヌードのようなものが描かれたキャンバスに絵の具のチューブが添えられている作品が3点と、星らしきものが描かれているように見える作品1点によるインスタレーション。

ヌードらしきものが描かれている作品はすべて壁にもたれかかっているんだけど「これでも絵画なんだ」「これが(小林正人の)絵画なんだ」と思わせちゃうところが小林正人の魅力であり、危うさでもあるんだと思うけど、でもしばらく見ていると「絵画として見なくてもいいんじゃない」とも思っちゃうわけです。
まぁ、本人は絵画を描いているんだと思うんだけど、、、。

で、そんな作品を見ながら一緒に行った友人が曰く、
作品を展示会場に搬入する時のこと、業者が小林正人の作品を開封した時、その状態を見て驚いたそうです。
「あぁ~、キャンバスが剥がれている!」
と、そこで学芸員が
「そういう作品です。はじめから壊れているんです。」
と言ったそう。

実際のところどうなのかわからないけれど、話として面白いです。
確かにそれは「壊れている」ように見えるし「壁がなければ自立もできない」「キャンバスも剥がれている」。
僕は作品を前にして爆笑してしまいました。
だけど、小林正人の作品ってとってもデリケートなんだろうな、なんて思わせる話でもあります。本人が亡くなった後、あの作品たちは小林正人が意図しているように展示されるのだろうか、なんて余計な心配もしたり、、、。

続いて、早稲田にあるラ・ガルリ・デ・ナカムラへ。
Doris Voetter『Mindles Pleasures』展。ちょっと気になる。
だって、ほとんどのキャンバスが折れてひしゃげているんだもん。小林正人とはまた違うけれど、言ってみれば、一度描かれたものとして完成した作品をもう一度解体させたような感じです。

会場にはペインティングのほか、ペーパーワークなどもあってグラフィックな匂いもする。
でも、一つのインスタレーションとして見ると、会場の雰囲気と相まって、全体に融和していくような感じがあって面白かったです。

2006.09.21

薬用植物園

東京の小平市にある『東京都薬用植物園』へ行く。
取材なんて言えば聞こえがいいかものしれないけれど、別にね、植物を調べに行ったわけでじゃないから、いつものようにカメラ片手にぶらぶらと、、、。

さて、薬用植物園では実際に薬(漢方など)に使われている植物を育てているほか、染め物に使われる植物や有毒植物も育っています。
今日の暑さも手伝ってか、園内を巡っていると「へぇ~これ薬になるの?」なんて、あっちを見れば「これ毒なの?」なんて感じで、訳がわからなくなってしまいます。

まぁ、植物なんてファルマコン的なものでもあると思うからね。どっちかっていうと、僕はそれに引かれちゃうんだけど、、、。
彼岸花があちらこちらに咲いてなんてすると、僕なんてそれで癒されちゃうんだけど、実際、これ食べたらやられちゃうでしょ、魔女ですね、てな感じに思っちゃうわけです。

でもね、育っている植物もさることながら、何よりも薬用植物園自体がファルマコンな感じがして面白かったです。

2006.09.20

derek jarman’s garden

デレク・ジャーマン『derek jarman’s garden』
ノックアウトされました。映画『BLUE』を観た時の興奮と、いや、それ以上です。
もう10年以上前に出ていたのに見ていなかった事が恥ずかしい、、、。
世間にあまり興味を持っていなかった10年前の自分を思い出すと「いったい僕は何をしていたんだ」と思ってしまうほどです。

デレクの庭の事をちゃんと知ったのは、ちょうど1年前、雑誌『ku:nel』でデレク・ジャーマンの庭を特集していた時のこと。
「こりゃ~すごい」と思っていたんだけど、『derek jarman’s garden』を見たらすごく影響されちゃいそうで、ちょっと記憶の隅っこへ。でも、やっぱり気になって駄目でした。

一体、この美しさは何でしょうか?
何だか美しいなんて言っちゃうことが恥ずかしくなるくらい「美しい」です。
ある華道家なんて話になりません。あれが日本の華道家か、、、なんて見ていると下品で申し訳なく思ってしまいます。
デレクは庭だけど、同じ植物を相手にしてここまで違ってしまうのか、、、。

『derek jarman’s garden』を見るかぎり、その庭は自然や植物、そして、それらが置かれている環境に寄り添うように、決して押しつけではなく、対話しているような庭なんですね。そして、それら植物や自然、環境とともにいるデレク。
そんな事を思うと、僕はデレクの優しさすら感じてしまいます。でも、その優しさの中には厳しさや冷たさもあって、とても膨らみのある、豊かなものであるような気がします。

映画『THE GARDEN』も観なくちゃいけません。デレク最高!