カテゴリー別アーカイブ: 書籍

2010.12.19

引用・抜粋・空白

その前後を無視したまま引用・抜粋するのはどうかと思うけれど、、、。
興味があるものはメモとしても記しておきたいと思う。

タイトルは引用・抜粋、もうひとつ欲しいけれど、とりあえず空白で。
以下、引用・抜粋。

この作品では、そのタイトルの通り、殆ど何も起こらない。フェラーリは、これを作るとき、旧ユーゴスラヴィアのある浜辺で、ひがな一日マイクを宙に突き出していたのだという。
それを聴いている部屋の雑音と殆ど区別できない形で微かに浜辺の音が流れ込んでくる。ひどく遠くから、微かに子供達の笑い声が聞こえる。鶏の鳴き声。こうして、殆ど全く何も起こらないまま、時間は過ぎて行く。だが、このアルバムも終わりに近くなったころ、その間歇的に聞こえた蝉の声が、次第に音を強めているのに気づく。ゆっくりとヴォリュームを上げ音質を変えながら、次第に前景に出てくる蝉の声に、聴き手は初めてここで、音が操作されていた、という事実に気づくことになる。その瞬間、今まで聴いてきた音の意味が一挙に転換するのだ。が、それもつかの間、蝉の声は次第にフェード・アウトして行き、作品は終わる。
このように”何もない”(リアン)と”殆ど何もない”(ブレスク・リアン)の間の”殆ど”(ブレスク)という、あるかなきかの差異だけでぎりぎり成り立っているこの作品は実に興味深い。

大里俊晴『マイナー音楽のために』より
※ルビは括弧として表記した

2010.12.06

マイナー音楽のために

20101206

『マイナー音楽のために/大里俊晴著作集』。
アトランダムに読み進めているものの、グイグイ引き込まれていきます。

思い出せば、今年は原雅明著『音楽から解き放たれるために』で始まった。
そして12月に『マイナー音楽のために/大里俊晴著作集』。
ゆっくり味わいながら大晦日まで。

今年の読書は音楽で始まって音楽で終わる、というのもいいですね。

2010.09.02

知られざる創作の秘密

新国立美術館『マン・レイ/知られざる創作の秘密』展を見に行く。

なにげなく撮影したのかもしれないモノクロ写真、特にカラー写真は美しいですね。
でもドローイングやオブジェ、映像作品もあったりで、だいぶお腹がいっぱいになりました。

さてと帰りに神保町で用事があったので、三省堂古本館に立ち寄る。

残念ながら探している本はなかったけれど、、、。
でも、吉本隆明著『改訂新版 共同幻想論』があったので購入。

この際なので読み返してみようかしらね。

2010.06.17

原因と結果:哲学

ルートヴィッヒ・ウィトゲンシュタイン著『原因と結果:哲学』を読む。

ウィトゲンシュタインの書籍をそれほど読んでいるわけではないですが。
でもウィトゲンシュタインの考えには興味がありますね。
読み返す事も多いし、突然扉が開かれる事も多いです。

という事で同書より気になったところをひとつ抜粋。

86節 哲学の困難は、学問に関する知的な困難ではなく、態度変更の困難である。意思の抵抗が乗り越えられなければならない。

ちなみに、、、。
上記の「哲学」を「アート」や「美術」に置き換えてみると。
まったく余談でしかないですが。

2010.03.25

私たちは自らを、死に負っている

20100325

ジャック・デリダ著『留まれ、アテネ』を読む。

デリダに訪れた「私たちは自らを、死に負っている」という文から始まるこの本。
前半はとっつきにくい感じもあるけれど、後半からは一気に読み進んじゃいました。

何だか読み終えて本を閉じるのと同時に次の扉が開かれる感じです。
そしてそこにはアテネの、太陽の陽射しが降り注いでいる。

僕の読解力もあるけれど、読み直してみると不思議ととっつきにくかった感じはどこへやら、です。

” nous nous devons á la mort “