Masaki Kawada Web

二回転半ドロップ

彼が思う普通が彼女にとっても普通とはかぎらない。特別なことをしなくても、彼が普通だと思うことに徹してみれば、彼女にはそれが普通ではないこととして映るかもしれない。彼と彼女が思う普通。お互いにとってまったく普通ではない、それぞれの普通。

それら作品は目新しいというよりも、普通に描かれ、つくられているように見えた。けれども、しばらく眺めていると、どこか変に思えてきた。きっとそれは、それぞれが繋がりを持たないまま、関係なくつくられながらも、同じこととして共存しているあり様が、そう思わせているに違いない。

はじめに二回転半することだけ決めておく。どこに着地するかはその時次第。ジャンプした場所に戻るかもしれないし、思いもよらない場所に着地するかもしれない。それぞれのやり方で二回転半してみよ。

『河田政樹キュレーション 「小林丈人展 二回転半ドロップ」』 / ゲルオルタナ / テキスト / 2013年