Masaki Kawada Web

全感覚 Vol.2

・今回の「写真」について説明をお願いします

随分前の事になりますが、図面などの複写に使われる青焼き紙を印画紙のように使う事ができないか試してみました。するとこれがなんともいい感じではないですか。画像の荒さは仕方ないと諦めつつも、感度が低いから印画紙のように暗室で扱う必要はなし。強い日差しに気を付ければ屋外でも大丈夫。現像は熱を加えればOK。なんともお手軽です。これまでも気分に任せて何度か青焼き紙で作品をつくってきましたが、今回もそんな感じでいざ自宅の庭へ。青焼き紙を地面に置いたり植物に押し付けてみたり。作業をしている時は影をトレースしている感じなので、どこか複写をしている感覚があります。でも、これもカメラで撮影した「写真」と同じように、僕は「写真」だと思っています。

・ご自身と「写真」との関係について教えてください

日常生活でのさまざまな関係の中で写真との関係も築かれていると思います。それは家族との暮らしや散歩に出かけた時、本を読んだりする事の中でふと写真との関係が築かれるといった感じでしょうか。とはいえ、日常生活から切り離されたところでの関係もあって、閉ざされた暗室の中で写真と向き合い対話する事は、今でも僕に決定的な何かを与え続けています。

・ただいまの関心と制作への抱負を教えてください

息子と日々接していると作品の制作や展示をする上でとても参考になることが多くあります。例えば、僕とは決定的に違うものを息子に感じたりすると、きっと見えている世界も違うんだろうなと思って、それがどんな世界なのか想像してみたり、モノの扱い方でも、少しずつ見よう見真似で覚えているようですが、時々思いもよらない扱い方をするので、僕もこれまで蓄えてきた知識を振り払うくらいの事が作品を制作する時に必要かなと思ったりします。あとは作品に対する関心の拠りところでしょうか。まだ幼い息子には僕のやっている事が何かのか、どれが作品なのかわからないのかもしれません。とても興味深い行動をします。

『全感覚 vol.2』 / 2012年 / p.15