Masaki Kawada Web

オールド/ニュー準備室 vol.6

暗室でのプリント作業中のメモより(2002年9月10日)

暗室とは、全ての外光を遮断しながら、同時に、暗室の外側にあるだろう外界とその関係も一旦、断ち切られた部屋だと思われます。そして、暗室でのプリント作業とは、投映機から投映された像を唯一の頼りに、一旦、遮断された外界とその関係を捉え直すための作業であるようにも思われます。

暗室の中で投映機から投映された像を見ていると、そのような外界とその関係を捉え直す契機(作業)が、暗室でのプリント作業をしているときに限らず、映画を見ているとき、本を読んでいるとき、音楽を聞いているとき、また、明るい部屋で写真を見ているときなど、あらゆる所、状況にあると僕には思えてきます。

しかしその一方で、プリント作業を止め、暗室という閉ざされた部屋の中に居ると、このまま全ての関係を遮断したままでよいとも思えてきます。そして、そのようなある種、自閉的ともいえる状況になることで、また別の関係、外界との接触があるようにも思えてきます。

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『オールド/ニュー準備室 2002年9月14日号 vol.6』 / かわだ新書プロジェクトホームページ / 2002年