Masaki Kawada Web

オールド/ニュー準備室 vol.18

さて、今回は、総括展も迫ってきていることもありますので、総括展のプレスリリースに載せたコメントを公開しようと思います。これを読んでいただければ、短いですが、ある程度、総括展への僕の考えがわかるのではないかと思います。
また、見ていただく人の、僕やかわだ新書プロジェクトへの期待の仕方、あるいは、あきらめ方によって、総括展の見え方が変わってくるのではないかとも思っています。
つまり、僕の個展として見に来られるのか、もしくは、かわだ新書プロジェクトの総括展として見に来られるのかということになるのですが、 僕としてはどちらも回避したいと思っている訳ですね。でも、やはり回避するわけにもいかない訳ですから、両方すくい取りながらも距離を置くといった感じになるだろうと思っています。

下記のコメントでも書いていますが、「Documents-old/new-」は僕によるかわだ新書プロジェクトの総括展でありながら、かわだ新書プロジェクトによる僕の展覧会という趣があるのではないかと、作品が完成し始めて、おぼろげながらそう受け取っています。
ですから、総括展に出品する作品の中で、本来であれば、制作しないであろうものも制作しているということになります。また、かわだ新書プロジェクトとは関係のないだろう作品を、かわだ新書プロジェクトに寄り添いながら制作したものもあります。
このようなことは、これまでの僕の展覧会ではありえなかったことですし、ある意味、僕の見せなかった側面かも知れません。もしかしたら、これまでに味わったことのない誤解を受ける可能性もあるのかもしれませんが、 でも、そんな誤解はこれまでにも幾らでもありましたから、大したことではないのですけどね。なんだか僕の作品の印象は、何がしたいのか、何なのかよくわからん!!といったことをよく耳にしますからね。

それでは、総括展プレスリリースに寄せたコメントを公開して、今回は終ろうと思います。

プレスリリースへ寄せた河田政樹のコメント

今回「Documents-old/new-」と題して、河田政樹によるかわだ新書プロジェクトの総括展を行うことになった次第ですが、この展覧会は”河田政樹の展覧会”でありながら、同時に”かわだ新書プロジェクトの総括展”でもあります。
それは、自らプロジェクトの内部に在りながら、同時に、その外部にも属する存在として、また、他者の思考、視線を取り込みながら展覧会が構成するされることを意味しています。
しかし、展覧会を構成する中心的な人物が存在するかぎり、そこからの視線が展覧会を構成するうえで優位に立たされてしまうことは避けられないことなのですが、それでも、そのような優位をどこまでも逆のベクトルへ向けて、言うなれば、”河田政樹によるかわだ新書プロジェクトの総括展”が”かわだ新書プロジェクトによる河田政樹の展覧会”等への回転を引き起こすような、あらゆる視線から同時に眺めた光景、複雑に関係付けられた状況を提示する展覧会が「Documents-old/new-」になります。
そして、タイトルの「old/new」とあるように、この展覧会は「old」と「new」に挟まれた「/」、変化し続けるかわだ新書プロジェクト、及び、河田政樹の現在を提示する展覧会でもあります。

『オールド/ニュー準備室 2002年12月21日号 vol.18』 / かわだ新書プロジェクトホームページ / 2002年