つまり、実際にプレゼントされる「しおり」とその余白とでも言うべき「しおりのための原稿」がセットになってひとつの作品でもあるということです。 そして、そのような「しおり」と「しおりのための原稿」の関係はある欠如の上に成立しています。
「かわだ新書特製しおり」は5名の方にプレゼントされ、もう一方の「しおりのための原稿」は僕の手元に残り、いずれも「しおり」は「しおりの作品」として、「原稿」は「原稿の作品」として自立させているのですが、もし、それらの全体像を知ることになったとすれば、「しおりのための原稿」の欠如を埋め合わせるために「しおり」を必要とし、またその逆も然りということになります。
また、実際にそのような欠如を埋め合わせようした場合のひとつの方法として、それぞれの部分を寄せ集めるということが考えられるのですが、けれども、そのような方法で欠如を埋め合わせたところで何が起こるわけでもなく、ただ欠如を埋め合わせた代償としてのある「充実」が得られるだけでしょうし、はじめにあった「欠如」は「充実」を引き換えにまさに欠如してしまうわけです。
さて、「かわだ新書特製しおり」についてはまだ話すことが多くあるのですが、それはまた別の機会に譲るとして、今回はこれで終わりにしようと思います。
追記
「かわだ新書特製しおり」の発送が遅れております。ご応募して頂いた方には誠に申し訳ないのですが、もうしばらくお待ちください。
記録写真 「名なし」2002年