右写真上がその試作になります。実際の作品ではタテ約140×ヨコ約90cmのサイズになりますが、試作ではA4サイズで制作しています。
一番右が版で、真ん中と左が刷り途中のものです。また、右写真下は別の版の拡大写真になります。
かわだ新書「アートする美術」をくまなく読まれた方はお気づきになったかと思いますが、この版には「アートする美術」の最後に掲載されていた「かわだ新書の創刊に際して」という文章が転写されています。
この「かわだ新書の創刊に際して」は実際に出版されているある新を参考に言葉を入れ替えて作成されたのですが、僕にとってこの文章は、ある種、かわだ新書「アートする美術」および「かわだ新書プロジェクト」の宣言文のような役割もあると思っているわけです。
また、それは読まれることによってその意味等が問われることになると思っているのですが、他方で、僕は「アートする美術」に掲載される原稿を執筆するにあたって「読むことと読まれること」「見ることと見られること」という、単純といえば単純な構造を思考の中心部に据えてもいたわけです。
そして、そのような思考の延長線上に展開される「答えなし/no answer」(仮タイトル)は、「かわだ新書の創刊に際して」という読まれるべきものを援用しながら、読まれるものとは別の方向、つまり見られるものとしての、あるいは読むこと/読まれこと、見ること/見られることを拒否するように示唆された作品ということになります。
しかし、実質上、そのような事がありえることなのかどうか、あるいは、作品として結実するものなのかどうかについては、今のところ何とも言い難い段階で、結局のところ、何がそこで起こった(ている)のか、あるいは、何が体験された(される)のかは、作品の完成を待って語るしかないのでしょう。
ということなので、この次のお話は「答えなし/no answer」(仮タイトル)が完成したときにでもできればと思います。
記録写真「名なし」2002年
記録写真「名なし」2002年