Masaki Kawada Web

アートが好きなわけ

何でアートが好きなんでしょうねぇ。と、自分に問いかけてみると、そんなこと今まで考えてこなかったかもしれないという思いがよぎる。
それでは何故にアートに関わっているのか。
僕の性格上、何となくということもありますという返答。
仕様がない。
でも、非公式の見解としてはこれでいいのかもしれない。
所詮、アーティストも数ある演技のうちのひとつにすぎませんからね。
それに仕事ですよ。
趣味ではないわけです。
その差ははっきりと見ていかないといけないでしょう。
僕は好きでアーティストをやっているわけではないのですから。
いや、好きですよ、アートは。でも好きだけでは割り切れないところがあるというべきですかね。
そこにはアートでしか見られないこともたくさんありますから。
それに、アートでしかできないこともありますよ。
全てのものはアートになる可能性があるけれど、全てがアートになることはない。
時々、そこでは名づけようのないものが出てくることがあります。
そして、それはアートと呼ばれることを拒否しているかのような素振りもする。
でも、所詮、それはアートでしかないのだけれどね。
完全無比で、尚且つ、はかなさを同時に持ちあわせているとでも言ったらいいでしょうか。
訳のわからないことはあっちに行っといでとばかりに、吹溜りに追いやられてしまうわけですが、それでもいいんじゃないでしょうか。今のところそんなものでしょう。
某俳優じゃないけれど、「なんじゃこりゃ」というものが出てくる可能性はありますね。それが全く意味がないものであったとしてもですよ。
でも、アートなんて実質的には無意味なものでもあるでしょう。
だから、僕はそういう風に、アートを気持ちがいいとか、よくわからなくておもしろいとか、そういうレベルではなくて好きなわけです。
どうでしょうか。こういう公式見解もいいんじゃないですか。

『アートする美術』(かわだ新書001) / 2002年 / pp.38-39