Masaki Kawada Web

スパイラル

ここにある、約束事に、馴染めない、支離滅裂の、裏返し、または反転。沈黙に、書かれた言葉、独り言、それとも誰に。きっとそれ、見たことのない、段落の、鏡に映る、透明な、季節の切れ目。見ることは、むしろ不可能。だけれども、囲いの中で、畳まれた、不可視の光、閃光の、支持体の裏。見ることは、むしろ可能か。その相、違映画の向こう、かつて見た、フィルム以前。その切れ目、映像の束。片手には、行き場をなくす、この響き。もう片方に、ぶら下がる、めくれば別の、断章。切り刻まれた、暗闇の、その重なりか。だとすれば、湾曲した、複数の、鏡と紙片。さもなくば、誰の眼差し。窓硝子。または作品。限られた、言葉の羅列。余白さえ、差し替え可能、完全で、客観的、その言葉。いずれにしても、この亀裂、行き場をなくし、ぶら下がる、季節の切れ目。窓硝子。映像の束。まだ未読。私の前で、畳まれた、フィルム以前。きっとそれ、沈黙の前。的外れ、またやり直し。ここにある、約束事に、馴染めない、支離滅裂の、裏返し、または反転、もしくは帰結。

2001年6月20日(水)

『アートコム・テオリア』 / 第Ⅲ期第2号通巻23号 / 2001年 / p.15