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路地を吹き抜け

私は、いわゆる美術作品といわれているものが美術であろうとなかろうとどちらでもよいと考えています。それよりもそのつくられたものがいかに切実さを伴った表現なのかが私にとっては大切です。ですから、たとえそのつくられたものがたわいのないものでも、それが切実さを伴った表現であれば、私はそれを評価しようと考えています。そして、逆説的ですが私自身、そのような切実な表現をしていくことで、美術を立ち上げていく一歩が踏み出せるとも考えています。

『路地を吹き抜け』 / プレスリリース / モリスギャラリー / 2000年

ふと吐いた溜息が、今、他人に変わっていきました。
風になり、音になり、言葉になり、鏡を擦り抜け震えています。

『路地を吹き抜け』 / 展示作品 / モリスギャラリー / 2000年

優しい目をした通り魔は、光を浴びて風になります。
刄と化したその声で自らをも切り刻み、紙片の間を吹き抜けます。

『路地を吹き抜け』 / 展示作品 / モリスギャラリー / 2000年