今回、河田政樹は Gallery ART SPACE Produce「日替わり留守番展」に参加することになりました。これまで私は「アートが何であるのか、いつ、どこでアートになるか」という問いかけを中心に、アートを考え作品といわれるものをつくってきました。そこでつくられたものは、アートとして作品として見られ、そう呼ばれてきました。そこで今回は、アートにならない、作品とならないところからアートを眺めてみようと思います。もっと言えば、アート、作品と見られない、呼ばれない、だからといって何かとして見ることも、呼ぶこともできない全てを無化していく地平に立ち、アートを眺めてみようと思います。はたして、そのような地平に立つことができるのかどうか確かなことは分かりません。実際、何かをすれば(何もしなくても)何かとして(何でもないこととして)見られ、呼ばれてしまうのでしょう。しかし、そうであるならば何かとして見られ、呼ばれてしまうこと全てを受け入れ、なおもそれから逸脱していく、解体していくその営みが全てを無化していく地平に立つことなのかも知れません。そして、全てを無化していく地平に立つことによって常に解体し再生していくアート本来の営みとしてアートを立ち上げることができると思います。また、その営みは「解体としての再生へ、再生としての解体へ」という解体と再生という一見相反することを同等にとらえていくことでもあり、私はそのような営みをしていくことが大切なことと思います。
1999年2月1日