限りなく近い風景

限りなく近い風景

展示風景
Installation view

限りなく近い風景

黒い闇から始まる物語、夢。目を閉じると彼女は記憶をたどり旅に出る。ループを描き、空をまたいで。できる限りの時間、唯一の自由。嘘ではない。いつでもここから始まる本当の話。

2001.2.26 / 2001年 / アクリル絵具、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.2.26 / 2001 / acrylic, paper, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

窓のない家。駅からそう遠くはない、ある所に一軒だけただずむ。無意識に見てしまう、毎日確かめてしまうあの建物。のんびりした景色の中、時間が止まり、空気が止まる、あの建物の中で何が行われているのだろう。

2001.3.18 / 2001年 / アクリル絵具、カーボン紙、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.3.18 / 2001/ acrylic, carbon, paper, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

透き通るような日差しが反射して細氷がはりつき、痛い。いつも通り、25日の朝。さっきまでの光は風を束ねすべてが同化して、色を失い輝く。雲を眺め。目を閉じると何かが起こる予感。

2001.4.29 / 2001年 / アクリル絵具、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.4.29 / 2001/ acrylic, paper, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

その風景は消えていた。たぶん近づきすぎたせい。以前、見たあの美しい風景。今そこには何もないから。らせん状の言葉は重なり合い、響く。空気はいつの間にか宙に舞い、そう。うわべだけの会話は簡単に見透かされ、肩透かし。真実は嘘をつく。9の昼下がり。

2001.4.25 / 2001年 / 色鉛筆、雑誌、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.4.25 / 2001/ colored pencil, magazine paper, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

水曜日の午後のこと。とぎれとぎれの会話。私なんだか人生がイヤになってきたの、分からない、だから、違うのに、きっと。とりとめのない言葉は行き場を失って、平行線を辿る。

2001.5.9 / 2001年 / 修正液、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.5.9 / 2001/ white liquid, paper, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

窓からの光。隣接する呼吸が月明かりに照らされて、すべてを包み込む。無謀なほどに。日常とは思えないほどの切り取られた風景。

2001.6.21 / 2001年 / アクリル絵具、カーボン紙、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.6.21 / 2001/ colored cellophane, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

キレイな色をした、ピンクのような水色のような。涙を流した後は、水たまりができて日だまりになって、もしくは。はみだした光を受けて輝いたそれは、とても豊かで満たされていて、でもとても無機質で無意味に思った。立ちこめる空気は、いつの間にか切れ切れにバラバラに流れていく。空気をたどるとその先には何もない。いつも通り、問題はない。

2001.5.16 / 2001年 / カラーセロハン、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.5.16 / 2001/ acrylic, carbon, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

何もかもがいやになって逃げていた。立ち止まることが怖くて、走り続け見ないふりをする。瑠璃色の風景を目にしたとき。気の毒な人は自分の居場所を確かめ、涙で見えなくなった。立ちすくむ足をおさえ、傍らに。にじむ風景。

2001.6.8 / 2001年 / インクジェットプリント、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.6.8 / 2001/ inkjet print, carbon, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

訳のわからない文字、とても読めない。いつからだろう。海のように永遠と広がる言葉の音を聞きながら安心するとき。きっと、初めから、生まれる前から、この文字に守られている。

2001.6.3 / 2001年 / インクジェットプリント、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.6.3 / 2001/ inkjet print, carbon, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

彼女は、ある物語を繰り返し見ることを好む。昔、たしか、とても傷ついた時に。憎しみ、悲しみ、苦悩、愛、喜び、そこには奇跡以外のすべてがある。

2001.4.11 / 2001年 / インクジェットプリント、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.4.11 / 2001/ inkjet print, carbon, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

赤い光を見た。たちまち鮮血のような赤、もしくは怖いくらいの赤。変わらない闇の中、ただただじっとうづくまる。ルビーのような輝きを持ったその光は決して衰えることはなく、消えることなく。雲の合間をぬうようにして飛んでいる鳥たちは光を目指しているのかもしれないと。10日の夜の出来事。とても冷たい雨。目の前に広がる風景。痛みのない傷。ずいぶん眠ったのかもしれない。

2001.3.10 / 2001年 / 写真、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.3.10 / 2001/ photograph, carbon, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

どこかで見た。ただ窓しか見えない、古くて汚くて。手を伸ばそうとすると消えてしまうような気がして目をつむると確か前に一度だけ。けむたい空気に包まれながら光を放ち。近づくとガラスの粉が降ってきて。

2001.3.5 / 2001年 / 雑誌、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.3.5 / 2001/ magazine, carbon, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

どこまでが海でどこまでが空か、考えていたら眠れなくなった。たぶん、その境界はとても曖昧で、そして一番美しい。いつか、きっと辿り着ける。

2001.4.17 / 2001年 / 写真、カーボン紙、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.4.17 / 2001/ photograph, carbon, carbon, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

いつも通る道に寝そべる人。とても長い時間たたずんでいたような気がした。たしか、あれは雪が溶け、冬が終わるころだ。ダイヤモンドダストを見た日の夜、そこには一輪の花が生けられていた。

2001.3.1 / 2001年 / インクジェットプリント、カーボン紙、紙、インク、額 / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm
2001.3.1 / 2001/ inkjet print, carbon, ink, frame / h.20.6×w.25.8×d.2.3 cm

限りなく近い風景

cope / 2001年 / 写真 / h.12.7×w.18.7 cm
cope / 2001/ photograph / h.12.7×w.18.7 cm

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