Masaki Kawada Web

作品、あるいは、植物について

時々、鉢植えが半ば無造作に軒先や路地に並べられているのを見ると、私たちに見られることとは無関係に、ただそこにあると感じることがあります。もちろんそこには家主の趣味趣向が反映されているのですが、それに気を配らなくてもそれぞれの言葉でその鉢植えについて語ることができます。
私はそのような語りのどれもが鉢植えやそこに育つ植物のことを言い当てていると思うのですが、美術作品ではそのようなことはあまりありません。 植物を観察して知り得たことを私なりに美術作品の可能性や新たなあり方として考えてみる。
植物には様々な見方を許容する豊かさがあるのかもしれません。

『ニュー・ビジョン・サイタマ Ⅲ』 / 展覧会カタログ / 埼玉県立近代美術館 / 2007年 / p.15