Masaki Kawada Web

モノをつくるということは

モノをつくるということは誰にでも備わっている能力であり、アーティストといわれている人々に限られた特別な行為ではありません。そして、つくられたモノも同等に語られるべきなのですが、実際にはさまざまな価値基準(経験)によって判断され体系づけられています。それが悪いこととは思いません。人が関わる以上それから逃れることは不可能なことであり、私自身もそのような判断によって体系づけし、体系づけられているからです。だからといって、私はそれに全てを委ねようとも、または、それから逃避行をしようとも思いません。私はどちらか一方ではなく、全てを受け入れます。それは、全てを委ねる立場であり、逃避行をする立場でもります。このように矛盾した立場にいると精神は分裂し、思考は停止してしまうのですが、私はこのような立場にいることによってしか、何も見えてこないのではないかと思います。

1998年8月16日

『生まれつつある現在 第2回アート公募'98展』 / 展覧会配布物 / Key Gallery / 1998年